茶の間でおま。

本とかテレビとか宝塚とか。

葉真中顕「ロスト・ケア」(13)

 

ロスト・ケア

ロスト・ケア

 

文春第14位、このミス第10位、早川第5位作品にして、第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作品。

日本における介護の実態とその矛盾した国のシステムに警鐘を鳴らす問題作。

わたしにとって介護問題とは今現在直面していない問題であって、近い将来必ず訪れるであろう問題なんだけれども、なるべく考えないようにしている問題であります。まさしく「わかって」いることなのに、黙示されていることなのに、知らないふりをしてる間に問題が勝手に解決してくれてないかなぁと願っているひじょうに無責任な心情に対してぐうの声も出ないというか。

「楽園ではないこの世界で生き残る者は、一人残らず罪人だ。」

彼と同じロストジェネレーション世代の人間なので、上の世代が楽しそうに華やかにバブルってるのを指咥えて眺めてたんですけれども、いざ自分が大人になってみて、話が違うじゃないかって思うことは少々あったけれども(特に就職活動の時)(人生初の挫折を味わいました)今はそれなりに身の丈にあった生活を送れているとおもってるから、そんなに酷い人生じゃなかったって今のところ思えてるんだけれども、この先、老いというものが現実味を帯びてきて、いつ何時どこで落とし穴にはまってしまうかなんて想像もできなくて、できるだけ子供たちには負担をかけたくないなぁとは思うけれども、その子供たちの時代にはさらに厳しい状況になってるだろうなぁって「わかって」いるのに、それでも人々はただ己の身に降りかかるものをしのげればいい、って思ってるんですよね。人間とは本当に罪深い。

「自分にしてもらいたいことは、ほかの人にもそのようにしなさい」というフレーズが、違う意味を持った時のぞくぞくした感じはさすがにミステリ。フーダニットもそうですが、ホワイダニットのカタルシスがここにあると思いました。