茶の間でおま。

本とかテレビとかすきなものたち。

あさのあつこ「ありふれた風景画」(40)

上質な百合が読みたいと思っていろいろ探しつつ読み漁ろうと思ってたところにしょっぱなから大当たりを引いてしまった・・・!という作品でした。

 

ありふれた風景画

ありふれた風景画

 

あさのあつこ氏って「バッテリー」で有名な人だよね、っていうイメージしかなかった(しかも未読)(映画は見た)ので児童文学の人だとばかり思ってました。それがまさかそんな。

帯の文句はちょっと言い過ぎなんじゃないのと思うようなアレだったり、ファンタジー要素が入ってきたりするのはどうかなーって思ったけど、それでも同性を好きになってしまうということに対するヒリヒリとした緊張感や切なさはさいこうに素敵で、誰かを好きになるということはこういうことなんだと、とってもきゅんきゅんしました。これ以上近付いて拒否されたら一生立ち直れない、だからこれだけでじゅうぶん、ってゴールを設定してしまった彼女に対して怒りをぶつける彼女は少しずるいと思いましたが、でも彼女はちゃんと彼女に「好き」って言うてるんですよね。そう言えば。時系列に物語が進んでいるはずなのに二人の関係性が時々ブレてるように感じられたのが残念でしたが、連載物と思えばしょうがないかな。すっかり二人は出来上がっているのかと思いきや、両片思い的な描写が出てきたりして少し戸惑いましたが、でも目は口ほどにものを言う彼女の視線の強さに彼女がたじろぎながらも、それはつまりそういうことなのかしらと確信を持てないながらもでもきっとそうなんだろうなってぼんやり受け止めていく過程にときめきが止まりませんでした。細かいことなんてどうでもよくなるくらいだったのでもうなんでもいいです、まるっとおkです。

百合ってどうしてもこういう思春期の女子が戸惑いながらも自分のセクシャリティを自覚していくっていう設定が多いと思うんだけど、いい加減大人だから自分のことはわかってて、その上で恋愛していくっていうお話が読みたいです。