茶の間でおま。

本とかテレビとか宝塚とか。

加納朋子「トオリヌケ キンシ」(58)

加納朋子さん、作家活動復活されてたのね!!

 

トオリヌケ キンシ

トオリヌケ キンシ

 

不思議な病気(?)からそうでない病気まで、テーマとなってるのは「病気」です。場面緘黙症共感覚、脳腫瘍、相貌失認、脳梗塞、そして、白血病。ああ、なるほどほかの人になかなか気づいてもらえない病気・症状なのか。最終章までは、少々奇妙な病状や感覚に戸惑う人たちがそれでも幸せな日々を得るまでのとても幸せなお話で(脳腫瘍の「空蝉」は、ハッピーエンドに至るまでが少々きつかったけど)それらの人々がオールスター的にほんのりと登場する最終章も、結局はハッピーエンドなんだろうけれど、加納さんの白血病の闘病記を読んだ者としては、想像でなく経験に基づいた言葉のひとつひとつがとても心に刺さりました。ずるいなぁ。でも、加納さんが書くからこその説得力というのは確かにあって、「かくも世界とは、不平等で不合理に満ちている」という言葉に涙が止まらなかったです。そして、そこからの「夢は緑野を、ただ駆け巡る」という希望。加納さんにしか書けない物語だとおもいました。加納さんらしい、ちょっとしたトリックもあったり、それらがどれもこれもよい展開だったのが救われました。どこまでもツラかった「空蝉」でも、実は誰も悪い人なんていなくて、みんなが心に傷を抱えて恐る恐る生きてきたところに飛び込んできたタクヤセンパイの存在にほんとうにほんとうに救われました。ありがとうタクヤセンパイ。

まだまだ世の中に知られていない、その人のせいではない病気であるとか感覚によって不具合を生じてる人たちというのは多分にいるだろうし、そういうことが多くの人たちにわかってもらえたらいいなとおもいました。お互いの特性として理解して丸ごと受け止めれたら、そんなに素敵なことはないですよね。

加納さん、この作品以前にも出されてるみたいなので早急にチェックしなければ。