茶の間でおま。

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若竹七海「さよならの手口」(2)

葉村晶シリーズ最新作、文庫書下ろし。

 

さよならの手口 (文春文庫)

さよならの手口 (文春文庫)

 

なんと13年ぶりですってー、ぎゃー。でもこないだの短編集「暗い越流」の中で葉村さんが二編に出てきてたので、さらにはその設定が続いているので13年という長さは問題ではなかったです。よかった。葉村さんも年をとっていて、40歳超え・・・30代の女探偵というのは物語の主人公としておさまりもよくて、恋愛とか結婚とかがチラチラしながらもまだまだだいじょうぶ(なにが)って騙し騙し(だれを)生きてたんだけど、40歳超えちゃうともうなんかちょっとやっぱりヒロインとしてはとうがたちすぎで、男なら40歳超えた探偵だってワンサカいるだろうしハードボイルドの世界ではやたらめったら強くてモテモテだったりするのに、どうして女になった途端少し悲しくなるんだろうか、って切なくなりました。

すぐ腹立てちゃうし余計なこと言っちゃうし、でもそういうところが人間臭くてよいのだとおもいます。数々のトラブルに遭いつつまるで不死身のように蘇る様子はまさにハードボイルド・・・(ではない)

軽妙なタッチに誤魔化されて(るわけではない)しまいがちで、起きた事件も起こる事件も悲惨だし凄惨なことに時々ハッとさせられるのにも、唸らされました。いくつもの謎が明らかになって、スッキリとはするけれど、なんかやっぱり葉村さんが損してる気がして、ほんとにお人好しだなぁーーって思いながらもそれでも彼女が大笑いして終わる物語がとっても楽しかったです。解説にもありましたが、ほんとうに「贅沢なミステリ」でした!

ところでN乙女歌劇団で男役トップスタァだった人が依頼人として出てくるんですけどその御名も芦原吹雪で、これは葦原邦子越路吹雪を足したんですかねって若竹さんに確認したいですwさすが宝塚歌劇は100周年、がこんなところにも!