「翼ある人びと」に続いてのウエミク祭り\(^o^)/
泣きました。
泣くよって言われてて、そう言われるとなーって斜めに思いながら見たんですけど泣きました。
戦いが始まる前にガウリ(ちゅーちゃん)が言うた「大王、感謝する。でも私たちはきっともう隠れない。あんたが蜘蛛に飛ぶことを教えてくれた!今は飛ぶさ!月までも!!」で号泣です。
一幕のあのティコの月蜘蛛の話がここにつながっていたなんて、あの美しい話を、彼がこんなにも大事にしていたなんて。
上田先生が「翼ある人びと」ではまぁ様に「空へ行くんだ」と、そしてこの作品ではたまきさんに「月まで飛べ」という言葉を贈られたと聞いてはいましたが、ここまで琴線に触れるとは思いませんでした。予想以上に素晴らしかった。それをちゅーちゃんが言うたというのがこれまた。
メインの三人は評判に違わず素晴らしく、特にちなっちゃんの活躍に目を見張り、彼女が花のお人になられたことをひたすら淋しがっていたわたしに、彼女が自らつかみ取ったチャンスというものを目の当たりにさせそして納得させられたその説得力に脱帽です。まさに。まさにこれがちなっちゃんのターニングポイントであっただろう。ちなたまの運命共同体という事実にもただ頷くばかりで、これはまたmsmrの「二人の貴公子」とは少し趣が違っているなと思ったし、ビジュアルからいけばあさゆひの「あかねさす紫の花」っぽいんだけど(特にちなっちゃんはほんとうにゆうひさんに似ている)(似てるんだけど、でも魅せる武器は全く違うんだなってわかる)ただちなたまの二人はそのどれでもなくその健全さが素直に感動を呼んだのだと思うのです。
自分のことを好きだと言いながら他人の妻になった衣通姫をどうしても木梨は許せなかった。その深い悲しみが切なかった。その悲しみのせいで人生を短くしてしまったのが残念でならない。姫の思いが通じなかったのもまた切ない。でも一人残された穴穂が孤独の中で残りの長い人生を歩んでいく十字架を背負わされたことに比べたらましだったかもしれないと思わせられた。でも彼の孤独を、姫も母親もちゃんと理解していた。木梨は知らなかったかもしれない。先に死にゆくものとしての身軽さは彼にしか与えられなかった。
翼で印象的だった紅いドレスが、あの酒宴での白い装束だったと思うのですが、あれにどんな意味があったのかが汲めません。
今際の時に泣く穴穂に泣かないおまじないを試みて果たせなかった場面でも泣きました。このモチーフを最後まで大事にとっておいたことによって安っぽくならなかった。
セリフのひとつひとつを文字にしてみたくなるほど素敵な言葉たちが散りばめられていて、歌でないと伝わらない気持ちがあるという信念を持っていた木梨が言葉を捨て、だから文も返さず、ただ刃でだけで会話をしようとする二幕は悲しかったですが、その彼が最期の時に言葉を取り戻すのがさらに悲しかったです。
歌を詠むものと言葉を弄するもの。
同じく偽りの言葉を知りませぬと言って穴穂を怒らせる姫をだいじにしたいのにさせてもらえない穴穂の悲しみ。何もかもを手に入れたと思ったのに、実は何一つ手に入れられていなかった、むしろ失ったものの方が多かった。悲劇だ。
あずちゃんの中大津姫も素晴らしくて、退団インタビューでもこの役を挙げてらしたと思うんだけど、こういう役をまだ若い学年の人がしっかり演じられるのってほんとうにすごいことだと思う。さち花しかり。まゆぽんしかり。専科いらずではないですか。この作品に関わった人の多くが今年のおとめでも「好きだった役」にその役を挙げていて、そうであろうそうであろうと頷くばかり。たまきさんしかり。ちなっちゃんしかり。佳城くんやはーちゃんしかり。
うなぎのぼりの上田先生の名声に次回作への期待は高まるばかり。今度はチギさんに、どんな言葉を贈られるのかと注目が集まってるのもむべなるかな。
今は飛ぶさ!月までも!!
ああ、いい作品だったなー。
わたしの好きな月組だった。見られてよかった。