茶の間でおま。

本とかテレビとかすきなものたち。

東山彰良「流」(42)

第153回直木賞受賞作品。 

流

 

これの予習として読んだデビュー作では、相性が合わない・・・って涙を呑んだのですが、今作品は最後までつるつると読めました。おもっしょかったー!

台湾と中国と日本。

アイデンティティの意識とかわたしの中には皆無で(強いて言うならば関西人と四国人の狭間に生きてる意識はある)そのあたりの機微は察するしかないんだけれども、確かにミステリというよりはジュブナイルで、彼が生き抜いた順風満帆ではない青春の日々はそれでもまぶしくて、わたしには見ることのできない風景だなと思いました。

リアリティは実体験によるものだという説得力。

おもっしょかったけれども、でも話の本筋とはかけ離れてるように見える枝葉なエピソードの数々(幽霊とかゴキブリとか徴兵時代の老兵捜索とか)に少し振り回されましたが、フーダニットのミステリ要素もゾクゾクさせられるにはじゅうぶんではありました。

時々出てくる何気ない描写に大いに笑わせられたんだけど、女子プロのくだりのダンプ松本オチで大笑いしました。