茶の間でおま。

本とかテレビとかすきなものたち。

北村薫「中野のお父さん」(5)

本ミス21位、文春15位作品。 

中野のお父さん

中野のお父さん

 

御大の「日常の謎」に心が落ち着きました。奇天烈なキャラクタや摩訶不思議なトリックやビジュアルに頼らなくてもこんなにミステリに淫することができるなんて。上質なミステリ。わたしが欲していたのはこんなミステリだったんだってわかりました。

出版会社OLが主人公ということで、出版や書物に関するネタなんだけど、限られた条件の中でこれだけのものが出てくるのが素晴らしい。「闇の吉原」あたりではそのレベルの高さに己の未熟さを嘆いてみたり。やっぱりいろんなことを知っているって楽しいし、それらを総動員して一つの事柄を様々な角度から俯瞰できるのって知的で贅沢な遊びだとおもう。