茶の間でおま。

本とかテレビとかすきなものたち。

三崎亜紀「メビウス・ファクトリー」(36)

三崎さんの長編読んだー。 

メビウス・ファクトリー

メビウス・ファクトリー

 

しかし連載物なんだよね。長編は書き下ろしに限る派なので、読後感に「やっぱりね」っておもってしまった。広げてしまった風呂敷をどれだけ上手に畳むことができるかが連載物のキモだとおもうのですが、今回は設定の甘さというか一番引っかかったのは「特別奉仕」で、なぜ彼女がそれに従ったのかがさっぱりわからなかったし、この町の住民たちはみんなそのシステムを知ってるであろうのに、それが成立してしまうことが納得いかなかった。みんなが管理されて監視されてる社会において「特別奉仕」という名のもとに奉仕させられる女性の存在というのはありえないのでは?町の外から調達してくるならともかく。虚勢を張って僕の妻は特別奉仕をしているのだという彼の姿は滑稽でしたが。

工場で作られてる「P1」が実は出荷されることなくすぐに解体されてるであろうことは後半に気づくんだけど、そのオチがどうつくのかは興味深くて、そのことによって隠された黒い秘密の存在が仄めかされたことは恐怖でした。だれがなんのためにこんなめんどくさいシステムを構築したのか、という点においては納得できたのでよかったです。鑑定士がただのインチキでしかないとわかったときの全身を駆け巡るゾワゾワとした感覚が一番の快感でした。