茶の間でおま。

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長浦京「リボルバー・リリー」(6)

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このミス6位、早川3位、文春12位。初読み作家さん。 

リボルバー・リリー

リボルバー・リリー

 

おもっしょかったーー。

関東大震災直後の激動の日本で、誰も守ってくれない中、雨のように降ってくる銃弾を潜り抜けて生き抜いた美しき元諜報員と少年。

この時代だとたぶんもっと過酷で理不尽な取り調べとか拷問とかあっただろうけど、そのあたりはサラリと描かれていて(虐殺されるくだりは惨かったけれど)なので割と主役の二人がバンバン撃たれてあちこち怪我して、そういうシーンは読むの苦手なんだけどでもとっても読みやすかったです。おもしろかった。彼女はきっと無敵で不死身なんだろうなって思わせておいて時折詰めの甘さが出たりしてピンチに陥るんだけど、そのたびに助けてくれる人がいるんだよねー。ズルいよねーー。最後、数百メートル先の海軍の陣地にたどり着けば助かる、というその数百メートルが果てしなく遠いという戦闘においても、この陣地の中から手は出せないけど入ってきた人は全力で助けるし、そこにほかの権力は介入できないっていうなにその治外法権、大使館か、ってあたりとかがちゃんと正しい設定なのかジャッジできないのが悔しいですけど、途中で山本五十六さん出てきた時にはキターーーー!!!ってなって、これは史実なのどうなのって混乱しました。この時代の歴史に疎すぎるのでわからない・・・

はじめてしまったことによって引っ込みのつかなくなった人たちが「死にたがる」お話でもあって、終盤助かったとおもわれた人たちがバンバン死んでいくのがすごく無情でもしかしてこれ全員しんじゃうやつ・・・ってビクビクしたんですけどそうじゃなくてほんとによかった。いや、わからんけど。前途は少しも洋々としてないエンディングに、虹はやっぱり不吉なものだと思えてしまう。

どうせ死ぬなら好きな格好をしたい、と台風の中を逃げる彼女が繊細な刺繍が施されたワンピースを纏いお気に入りのベージュのパンプスを(足首が脱臼しても)決して脱がなかったというそのこだわりがとてもよい絵だった。