茶の間でおま。

本とかテレビとか宝塚とか。

伊坂幸太郎「AX」(42)

伊坂さんの殺し屋シリーズ読みました。

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むちゃむちゃよかったです。好きな伊坂さんでした。

最強の殺し屋が恐妻家だったらという設定の勝利。人とのつきあいかたが苦手だったという彼のおそらく凄絶な過去は語られてないけど、恐妻家になるにいたったというのがきっとその証左。彼にとって家族を得たことはとてもしあわせなことだったんだろうなと涙なみだなみだ。誰の目にもこの上なく妻に気を使って生きてるように見えてた彼のことを、彼の妻はそうはおもってなかったことに救われた気がする。お父さんはいつも気楽にのんびり生きてた、って。夜中に帰宅しておなかがすいた時、どんな些細な物音にも目が覚めてしまう妻に文句を言われないために最適な食べ物は魚肉ソーセージだというような彼が。物語の最後、ふたりのなれそめらしきものが提示されて、その時もらったキッズパークのチラシを後生大事にしていた彼はほんとうに不器用で、妻を愛していて、息子を愛していて、だからこれはさいこうのラブストーリーだったんだなってわかる。 

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表出する事柄以外は詳しく設定していないというのが興味深かったです。彼のおそらく凄絶であろう過去とか、殺し屋になった経緯とか、今まで行ってきた殺し屋稼業のアレコレとかそういうのはきっと重要ではなくて。その省く部分に作家の個性が出るんだろうって話はおもしろかったしなるほどなーっておもったし、その点において伊坂さんとは気が合うなーーっておもってます。よい余韻だなー。