加納さんの新作読みましたー。
アミの会(仮)のアンソロジで読んだトランスジェンダーの子が入学した女子大が舞台となる連作短編集でした。
廃校が決まってるのに卒業できなかった10人をなんとか卒業させるために合同合宿させる理事長がなぜそこまで親身になってくれるのか。集まった10人はくだんのトランスジェンダーの女の子をはじめ、一癖もふた癖あってとっても生き辛そうな女の子ばかりで、彼女たちに寄り添って無事に卒業させるお話たちはどこかファンタジーなんだけど、でもそこに至るまでに犠牲となった人の存在が明るみになってそれはもう哀しいお話でした。贖罪の意味も込めて作った学校だった。
過食症に拒食症、起立性調節障害にナルコプレシー、カフェイン中毒の腐女子にFTM、フーテンに死にたがりに、あとはえーっと恋した既婚小児科医に会いたいがために好きでもない男の子どもを妊娠した「委員長」だ。*1目に見えにくいわかりにく病気という点で「トオリヌケキンシ」を思い出す。
それでも彼女たちが救われたのは*2、理事長の力もあっただろうけど、この学校にやった親のおかげでもあるよなぁって。お金の問題もあるけど、めんどくさい彼女たちをなんとかしたいとおもった親心が感じられた。おかしな父親もいたけど(怒)でも親ではどうにもならないことってあるとおもうし、親以外の大人のおかげでうまくいくこともぜったいにあるとおもう。親だけじゃなくて、家族だけじゃなくて、それ以外の場所で誰か気にかけてくれる大人がいれば、こどもはちゃんと救われるんじゃないかな。そうだといいな。