茶の間でおま。

本とかテレビとかすきなものたち。

メ~テレ開局55周年記念ドラマ「乱反射」

なんという豪華なキャスト!次から次へと出てくるビッグネームの波に揉まれて窒息するかと思いました!すげー、お金かかってるぅ!!原作既読派。9年前に直木賞候補になった時に読んだ。また後で読み返したい。小市民たちのほんの些細な「罪」の連鎖が引き起こした重大な結果。彼が新聞記者でなければおそらくその連鎖が明るみになることはなく、その事実をつきつけられた人たちが罪悪感に苛まれることもなかったんだろう。いや、あの犬の飼い主だけは何も知らないまま生きていくことになる。あの爺の存在が彼に知られることになってもおかしくはなかっただろうに。彼が糾弾したのは、樹木診断をした造園業者と、それを委託した市役所と、最初に救急車の受け入れを断った医者だけ。その陰には犬飼の爺以外にもヒステリックな市民運動を繰り広げる女性たちや、さらには夜間診療はすいてるからお勧めだよんとか言いふらしたバカな大学生。倒木した傍で見ていたあのカップルは救急車を呼んだのだろうか。野次馬デートを楽しんでいる様子が醜悪だった。街路樹伐採を訴える団体の、何かが倒錯してしまっている本末転倒っぷりも醜悪だった。そんなつもりはなくてただ木が切られてしまうのはもったいないわねえって何気なく発した一言によって祭り上げられてしまった女性の悲劇とそれを持ち上げた人の醜悪さ。犬飼の爺以外はみな、己のしたことが引き起こした結末を知っていて、それが自分のせいかもしれないという罪悪感にビビっている。でも自分は悪くないと開き直って、そうやってそのまま厚顔無恥に生きていく。やるせない気持ちをなんとか昇華させる夫婦が、家庭ごみ持ち込み禁止と書かれたゴミ箱に、家から持ってきたゴミ袋をふたつ、押し込む。おお。それは事故前にも同様にあった風景だ。そして彼はきづく。こういうことか、って。それでも押し込んだゴミはそのままに、未だきづかない妻とともに、亡くしたこどもとの思い出の地に足を向ける。醜悪だ。想像力の射程範囲。