茶の間でおま。

本とかテレビとかすきなものたち。

西澤保彦「幽霊たち」(40)

超絶の本格ミステリという帯の言葉に襟を正して読んだのですが、過去の章でのあの一人称が替わるあたりで、ああ・・・絶対これだよ・・・ってピンときたので褒めてください。7割正解じゃない?(7割は言い過ぎ

女の人(っていうか乃里子さん)しか愛せない沙織さんが登場したあたりで西澤さんキターーーーーーーーーーーーー!!ってなって、あと未成年ズが離れの一室で酒盛りして与太話に花を咲かせるあたりで再び西澤さんキターーーー(ryってなったので大変楽しかったです。乃里子さんしか愛せない沙織さんが乃里子さんの弟の子を二人の子のように(ってことだよね)歪みまくった愛で溺愛して育てたっていうのはまあほんとに旧家のおどろおどろしい隠された秘密って感じなんだけどいかんせん文体がそれなのでうっすい水割りのようにするすると呑めてしまった。彼(彼女)が佳納子と関係を持っていたあたりが良く分からなかったけど、それで沙織と佳納子の折り合いが悪かったってことでいいのかな。*1倒錯した人間関係のオンパレードにぐうの音も出なかったんですけど、特に(幸生が)姉の沙織さんと愛し合ってる女性だったから乃里子さんを愛することが出来たっていう文章で目眩がしました。二重人格になるほどの経験をした人がわりとあっさりとした人生を送ってるように見えたのもその文体のせいかな。幽霊が見えるってそれだけでわりとしんどい。交換殺人のくだりはちょっと説得力がなかったけどでもまあすべてが明らかになったのでスッキリはしました。

*1:しかしあたしと愛し合うとき、あなたはいつも理沙ちゃんだったから、というセリフにもんどりうったよね。