茶の間でおま。

本とかテレビとかすきなものたち。

湊かなえ「ブロードキャスト」(38)

イヤミスの女王湊さんが初の青春小説を書いたよ、ってことで読みました。

なんで青春小説書こうとおもたん?っていうのが第一印象だったんですけど、初の新聞連載の作品だったようで、若い人たちに新聞を、連載小説を読んでもらいたくてっていうのが動機だそうです。なるほど。わたしは連載小説が苦手で、購読してる地元紙に連載されてるものをまともに通読できたためしがないです。なんだろ。なんでだろ。なんかちょっと悔しいので(?)次に連載が始まるタイミングでチャレンジしたいです。

放送部というのはわたしにとっても馴染みがなくて、知らない世界を知るのは楽しかったけど、一番興奮したのは、中学最後の駅伝大会になぜエースの良太を出場させなかったのかという謎が明らかになる場面で、やっぱりわたしは体育会系の人間だわとおもいました。わたし自身は運動を一切(一切)しないけれども。未来なんていらないと今無理を通すことによって後悔した大人による配慮が、彼に通じたようでよかった。それは高校野球もそうで、痛みをおして無理をして、高校を卒業してからの野球人生を失ってしまうことの是非とか、これでもう一生野球ができなくなってもいいからだからこの試合には絶対に出たいんだっていう若さならではの無茶に酔う若者の想いとか、いろんなことを自分のいる世界に置き換えてはわかる・・・と唸りました。が、その葛藤もまたあっさりと描かれていて、今を諦めることで未来を生かした彼と、事故によって失った居場所を別のところに見つけた彼と、立ち位置の違う人たちが衝突を恐れて遠巻きにしてお互いを眺めていたのが、新しい風が吹いたことによって少し理解し合えたという状況と、過酷な状況に置かれた彼女と新しい仲間たちの交歓というようなファクタが盛りだくさんすぎて、どれもこれもあっさりしてたなーとすこしものたりなかったです。

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