茶の間でおま。

本とかテレビとかすきなものたち。

2025年6月号

・読んだ本

村田沙耶香「世界99」上・下(52)(53)
いやー、すごいものを読んだな。という満足感。ラロロリン人とピョコルンという生き物が存在する世界を生きる人間だった人の物語。ピョコルンのビジュアルがどうしても想像できないまま、人間の性欲を一手に引き受ける存在として需要がたかまっていくあたりで人間の身勝手さにげっそりしてしまった。動物虐待なのでは。そのうちにピョコルンは家事や育児も担うようになる。それでも人間と同じようには出来なくて、冷凍食品やレトルトを使った食事が毎日並ぶ日々につい人間も愚痴が出る。高価なピョコルンを買うためにローンも組んでるので、ピョコルンのために仕事をして帰ってきたっていうのに、こんな食事しか出てこないのかよ、いい加減にしてほしい、という言葉が、ああ、それは人間の「母親」というものに常に向けられていたセリフだなとわかるあたりで背筋が冷えた。激しい差別に遭ってきたきた人たちがやがて特権階級になっていくのもまた似たような事例が現実にあることに気づいてうすら寒くなる。汚い感情を持たないように記憶を調整して画一的な性格の人間を作り上げていシステムに飲み込まれていく主人公の、からっぽな人生の終着点としては納得するところもまた怖かった。いやあ、圧巻の物語でした。

長岡弘樹「交番相談員 百目鬼巴」(54)
交番のミステリというとどうしてもよねぽんの「満願」の「夜警」(換気扇だし)を思い出してしまう。

土屋うさぎ「謎の香りはパン屋から」(55)
2.5次元舞台のおたくが出てくる日常の謎ミステリとかなかなかにナウいですね。豊中市のパン屋でバイトする漫画家志望の大学生とかすごいニッチな設定に、ああ、きっとそういう著者なんだろうなとわかるあたりがざんねん。

阿部暁子「カフネ」(56)
2025年本屋大賞受賞作。みんなに愛されてた弟の急死から始まる新しい人生。不妊治療の果てに離婚を切り出される彼女のかなしさ。弟の死に漂う不穏な空気。徐々にわかる弟の人間関係。弟の元婚約者として出会った彼女との未来。おもしろかったです。家事代行会社社長の頼みごとを諾った彼女に対して社長さん(「ソロ活女子」の彩子さん(小林きな子)で脳内再生された)がのたまった「いやさか!」という言葉が頭に残ってしょうがないです。いやさかて。

町田そのこ「月とアマリリス」(57)
離れなければいけないとわかってるのに逃げることができない煮詰まった人間関係の中で罪を犯してしまうことのやるせなさ。無責任な外野は逃げればいいのにって無責任に言うけどそれが出来ないからこその犯罪なのだ。こないだ読んだ「八月の母」の団地で起きた女子高生暴行事件もつらかったことをおもいだした。

宮島未奈「それいけ!平安部」(58)
こどものころの思い出が「THE FIRT TAKE」の真似をしたというエピソードにジェネレーションギャップ不可避...平安部というよくわからない部活動に励む5人組の青春物語。よくわからないまま終わってしまってどこか消化不良。成瀬みたいなブレないカリスマ性を求めてしまうけど、成瀬は唯一無二なので成瀬みたいなキャラクタは存在しません。

 

・観た映画

ぶぶ漬けどうどす」
京都で観た映画。一番怖いのは主人公であったというホラーだった。ネイティブが一人もいないことが残念でならないし、やっぱり京都弁がうまくなくて引っかかる場面が多かったのがほんとうにざんねん。あんまり京都のいいところが出てなくて、期待してたロケ地もそんなに魅力的じゃなくて、期待してたぶんの肩透かし感がちょっとしんどかったです。

「国宝」
今月は映画「国宝」に心を奪われた一か月でした。二回観たし、ロケ地(京都)も行った。

 

梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ「陽気な幽霊」
もしかしたらしばらくは彼の姿を見ることはないかもしれないなという覚悟のもと観劇しました。今回の騒動を苦々しく眺めてましたが、それは舞台を観ても変わらず。どこまでが最初の脚本通りであったのかは不明ですが、元妻の幽霊が見えると言う彼と現妻の「あなたは酷く酔っていた」「いや、僕は酔ってない、だいじょうぶだ」的なセリフのやりとりは、観客にそれを想起させるには十分で、自虐ネタだと思われて笑い声が起きてました。でもわたしはぜんっぜん笑えなくて。それでもカテコで鳴りやまない拍手とスタオベを見ると、ああ、彼にはこんなにも味方がいるんだなあって、ちょっと、泣けてきた。それはともかく、やっぱり舞台に立つ彼は映えるし、屈託なしに観られなかったお芝居もわたしのすきなお芝居だった。逆境の中、成し遂げた彼のことをどう受け止めていいのか、今は少し迷ってる。でもまあ大きな声で、わたしは彼のことがすきです、とは言えないなあ、と後ろ髪をひかれながら劇場を後にしました。また、会えるといいね。

 

・見たドラマ(春ドラマ)

「波うららかに、めおと日和」
本田響也くんが大ブレイクした作品として後世に伝えられていくであろうその起源に立ち会えたことがうれしい。濁り切った大人のこころにさわやかなときめきをもたらしてくれてほんとに毎週生き返る心地でした。ビジュアルもハマりきっててすばらしく、このキャスティングが大成功であったことは論を俟たず、関係者各位の誇らしげな顔が浮かんでくるも嫌みではなく、心からその成功をお祝いしたいです。ビバ。

「ジョフウ~女性に××××って必要ですか?~」
あっちゃん出演作品として視聴しました。役作りとしてずいぶん体重を落としたそうですが、ちょっと瘦せすぎではないですか???と肌色多めの画面を直視できませんでした;;あっちゃんの肌色もとめてないです;;出てくる役者さんたちがみんな知らない顔ばかりで新鮮でよかったし、山崎紘菜ちゃんすごくかわいかったー♡

「あなたを奪ったその日から」

「夫よ、死んでくれないか」

「しあわせは食べて寝て待て」

「恋は闇」

「ソロ活女子のススメ5」

「イグナイトー法の無法者ー」

「なんで私が神説教」

地震のあとで」

「キャスター」

「べらぼう」