茶の間でおま。

本とかテレビとかすきなものたち。

高田郁「銀二貫」(35)

雪組月城かなとくんのバウ初主演作品の原作を読みました。

 

銀二貫

銀二貫

 

高田作品は「みをつくし料理帖」しか読んだことなくて、あの世界観がだいすきなのでほかの作品にまで食指が動かなかったのですが、食わず嫌いよくない!って後悔しました。よかった。ものすごーく、よかった。後半ずっと泣きっぱなしで、途中声をあげて泣いた箇所があったのですが(松吉に冷たく当たっていた善次郎が初めて彼のことを認めて「ようやった」と言うたシーン)最後の和助の言葉とそれに返す善次郎の言葉に慟哭しました。いや、悲しくて泣いたんじゃないけど、嗚咽が止まらなかったです。タイトルの「銀二貫」が時折出てきて、その場面場面で使われ方が違うんだけど、それででもお金は回って回ってちゃんと自分のところに返ってくるんだなぁって泣きました。

食べ物(今回は寒天)を扱った時代小説という点においては「みをつくし」と同じテイストなんだけど、「みをつくし」が水災であったのに対し、これは何度も大火に見舞われ、その都度復興を果たすんだけれども、折角作り上げたものが一瞬で失われるという恐怖と隣り合わせの生活は刹那的でもあり、有事の際に人がどのような行動を取るのかその人間性が試されるような気がしました。

「みをつくし」では大阪出身の澪たちが江戸で暮らす話でしたが、これは大阪に住む商人の話しで、全編大阪弁なのが小気味いいんですが、そうかこの役をれーこちゃんがやるのか、とそのハードルの高さに少ししんぱいに。心中の時に彼女の大阪弁に引っ掛かりを感じたことがあったので、ついついいらぬお世話なしんぱいをしてしまいます。

松吉・真帆以外の配役はまだなのですが、専科から英真さんとみつる氏の名前が出てるので、和助は英真さんで、えーっと善次郎はみつる氏なのかな?英真さんにはなんのしんぱいもないけど、みつる氏はバリバリの東京人じゃないですか!和助と善次郎の阿吽の呼吸で交わされる夫婦漫才のような台詞の応酬が見どころだとおもうので、そのあたりがやっぱりしんぱい・・・あとはメインの若手の役どころと言えば梅吉だと思うんですけど、心中でわたしの心をかっさらっていった真地くんがどんな役になるのか楽しみですね!!