茶の間でおま。

本とかテレビとかすきなものたち。

「罪と悪」

石田卓也くん出演映画を観ました。

久しぶりにスクリーンでみる彼の姿に感無量。高良健吾大東駿介という同世代の役者たちとの並びはある種の感慨を持って多くの人に迎えられたとおもう。これが初監督作品だという齊藤監督がうらやましい。立派な名刺代わりとなるデビュー作。監督の出身地である福井でのオールロケの映像は、逼塞したムラ社会という覚えのある感覚を呼び起こしたし、地方ならではの人や風景が新鮮でもあった。変わりゆく地方の今の風景を記録したいという意味もあるという監督の言葉に首肯する。

謎解きがメインではないとのことなので鑑賞後はすっきりとしないんだけど、その見るものにゆだねる手法にまんまとしてやられた。どうしても正解がほしくて関連動画を漁っていたら、名古屋での舞台挨拶映像で監督が「朔のサンダルに気づきましたか」的なことを言われてて恐慌をきたしましたw朔のサンダルがなんだって!?!?!もしかして小林少年自宅のあの団地玄関にあった意味ありげに映されてたサンダルのこと?つまり朔はあの時あの家にいたってこと?小林少年を殺害したのはそこにも理由があるってこと???????

なぜ小林少年は殺されなければならなかったのか。朔が隠したかったものは、20年前の自分がおんさんにレイプされたということ、その彼を自分が殺意を持って殴ったこと。最初にシャベルを振りかざしたのは、朔。とどめをさしたのも、朔。修行僧のように自らを律して生きてきたかのように見える彼が、なぜ小林少年に手をかけたのか。彼の母親とそういう関係であったのであれば、それなりに生臭い生活を送っていたのではないか。晃が町に戻ってきたことによって過去の事件が明るみになってしまうことを恐れていたはずなのに、なぜ寝た子をおこすように小林少年を正樹と同じように殺害してしまったのか。双子の弟に罪をなすりつけるためであれば、別に小林少年を殺す必要はなかった。ただ弟を殺害し、彼の部屋から正樹の財布が見つかればよかったのでは。あれ、警察はその動機をなんだとおもってたんだっけ?こんな町は嫌いだと言う朔にとって町を出ていくために邪魔だった弟を排除したかった。もちろん20年前の事故の証人としても邪魔だった。弟が誰かに秘密を話してしまうのではないかという恐怖。同じ町にいながら会うことのなかった朔と春。長い20年間だったとおもう。その二人が顔を合わせたのは、最後の日になったあのお祭りの夜。あの日を最後にしたのは春。春は何が許せなかったんだろう。全部ぶっこわれりゃいいんじゃ、という上林くん(@「孤狼の血LEVEL2」)の声が聞こえた。

犯罪者と警察が手を組んで均衡を保とうとする佐藤警部補の姿はやっぱり「孤狼の血」をほうふつとさせたよね。全部壊れればいい、とつぶやいた春は、ほんとうに全部を壊してしまったんだろうか。彼が守ってきたものを壊してしまったのが朔なんじゃないか。だから春は朔を許せなかったんじゃないか。祭りの雑踏の中を歩く朔の後姿はフラグがビンビン立ちまくっててまさかそんなとおもったけれども、予想したよりももっとあからさまに酷い形でなされた彼の死はショックだった。もう少しでこの町を出て行けたのに。

(このサンダルですか!?!?)

 

高良健吾くんの春のインテリっぽく妙に清潔な感じが怖いんだけど、こういう若いのに鄙にも稀な大きくてオシャレな家に住んでるなんの仕事してるのかわかんないひとってイメージにふるえました。春の奥さんが守屋茜ちゃんなのエンドクレジット見るまで気づかなかったんだけど、えええええ、まじですか!!!!って今も新鮮に驚いてる。っていうかきみたちいったいどこでどうやって知り合って結婚することになったん、旦那がどんな仕事してるのか知ってるん????キレイでオシャレなおうちに入れ墨いっぱいの人たちがドヤドヤやってくるのどうおもってるん、そこまで覚悟があるん??それともうすらぼんやりとしかわかってなくて、顔もいいしお金持ちだしやさしいしなんか人望もあるしってことで見ないふりしてるん????いや、知ってるんだよね、姐さんの覚悟あるんだよね...うわぁ。