第12回本屋大賞5位、第68回日本推理作家協会賞受賞、2015年このミス第6位作品。
やっぱり月村さんの作品は一気読みだった!ハズレがない!
今回はソマリアの国境付近で墜落ヘリの捜索救助にあたっていた陸自の精鋭たちが氏族感抗争に巻き込まれ、そこにイスラム武装組織が絡み、ソマリアにあるという油田の利権をめぐって大国たちの思惑に翻弄される自衛官たちの戦いに手に汗を握り、そしてその過酷な生還に涙しました。
ソマリアという、アフリカの過酷な状況を目の当たりにする体験は、まさに「平和ボケ」したわたしたち日本人にとっては他人事でしかなくて、その中でなんとか生きて帰ろうとした人たちの死闘の行く末にハラハラし、結果なかったことにされてしまう理不尽さと、納得せざるを得ない己の物わかりのよさにがっかりする読後感。わかってた。世の中はこんなふうにきっと、わたしたちの知らないところでものすごく大きな事件が起きていて、それを知らずに呑気に生きてるんだって。それが、いつもながら、とても、恐ろしい。ほんのりロマンスはご愛敬。