茶の間でおま。

本とかテレビとかすきなものたち。

加藤シゲアキ「チュベローズで待ってる」AGE22/AGE32(6)(7)

2年半ぶりのシゲアキ先生の新作読みましたー。

ざっくりAGE22は就活するホストの話で、AGE32はサラリーマンになった元ホストの話なんだけど、まさかのSF!そっかー、シゲアキがSFかーー、ってちょっとしんみりした。確かにSFは設定をちゃんと決めておいてそういう世界なんだって提示しておけば成立するから難しくはないのかな。現実世界の現実にある事柄を描くよりは。それよりもミステリだということに気づきませんでした。そうかそういえばミステリか。SFってことに気を取られすぎてミステリが追いついてこなかった。誰が彼女を殺したのか(ミスリード)ってそれめっちゃミステリじゃん!!!!!!

八千草さんのアレコレ*1がちょっといくらSFでも突拍子もなくて現実味が薄くてそんなわけあるかーーいっておもっちゃったのがミステリをミステリたらしめなかった原因だと思うんですけど、ただのラブストーリーと思わせておいてのSFはビックリ箱だったし、副社長の伏線*2とかライバル会社の陰謀とか新宿女子高生連続失踪事件とかこれでもかといろんなものが盛り込まれてて、シゲアキ先生渾身のエンタメ作品はとっても楽しかったです!でもあの甥っ子があれほどまでに伯母に執着するのはちょっとほかに理由があったんじゃないのって勘ぐってしまうくらいには異様でした。あと八千草弟が八千草兄を何度も刺したのは、彼はやっぱり兄を憎んでいたのか、それとも解放されたかったのか、自ら望んだであろう抑圧が少なからず負荷となっていたことはやっぱり歪な関係だったんだよね。グロテスク。

しっかし今回はマキャベリ君主論」ってあたり*3がほんっとに、ほんっっとにさあ!!!って感じでそれまた微笑ましかったんだけど、ダヴィンチのインタビュー読み返してみたらシゲアキ先生的には伊藤計劃の「虐殺器官」らしくてすまんな・・・ってなりました。

*1:表に出てこれない兄が自分を持てない弟をインカムで操って二人で一人として生きてた。

*2:アンダーウッド=下木

*3:パスワードがマキャベリっていうのが極まってた。