茶の間でおま。

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柳広司「ラスト・ワルツ」(10)

シリーズ第四弾。 

ラスト・ワルツ

ラスト・ワルツ

 

いつだって裏切らない結城中佐かっこいい。

戦時下において無敵を誇るD機関をして日本の行く末を変えることができなかったというそのことが非常にもどかしくも悔しくて、同じようなことをきっと彼らも感じていたんだろうなと思うとその歯がゆさに悶える。

それはわたしたちが歴史の正解を知ってしまっているから。

彼らほどの人材が実際にあれば、日本はこの結末を辿らなかったのではないかと思わずにはいられないけれど、彼らの英知をもってしても歴史の歯車は動かせなかったということなのかと、歴史という大きな力の前にはひれ伏すしかないとがっくりうなだれました。

相変わらずスパイたちがクールでかっこいい。

今回は、2編目に出てきた貴族のお嬢様が素敵でくらくらしました。

千年の歴史の前では人は無力である。

しかしそれを有効に利用したならば、これほど無敵なことはない。

彼女はその力の使い道を間違えた。

力を持ってる人は、恐らくその力の正しい使い道を知らないままに一生を終えていくのだなというのが感想ですが、わたしならばそのしきたりの中にすすんで身を投じ、貴族であることを満喫できる自信があるのですがそれはやっぱりないものねだりでしょうか。

特殊な時代背景においてのミステリ的トリックというのは、第一作の衝撃に勝るものはないのと思うのですが(いわゆる出オチというのはある)この設定でこれだけの世界観を持続させられるのはすごいなーって思うし、末長く続いてほしいシリーズです。