茶の間でおま。

本とかテレビとかすきなものたち。

2017年宙組「神々の土地」

NHKでオンエアされたものを録画視聴しましたー。

映像で見てもめちゃめちゃよかったです。舞台を見た時にはひたすらアレクサンドラに感情移入しまくって、わかる、わかるで、ってハンカチ握りしめてたんですけど、今回は娘のオリガにものすごく泣かされました。すきになった人には昔からの想い人がいて、愛だとおもって大事に温めていたものがそうではないとわかった時の切なさ。周りの見えなくなってる母親のそばにいて、それでもちゃんと政治情勢を見極め、内憂外患を善処せんとするその策を知っていて、それを母親に進言することができる。なんとりっぱな。もちろん母親は娘の言葉に傾ける耳なんて持っていなかった。おまえは何を言っているの。ふるえる声で言う凛きらさんのセリフは、当時も今もわたしのこころに深くつきささる。そして娘はもうなにも言えなくなるのだ。おかあさま、と呼びかけていたのが「ママ」になる。頬をつたう一筋の涙。映像の妙。彼女は自分の想いをすべてあきらめて、ただ母親の想いを守ることだけを選んだ。そのことがとてもかなしかった。自分の想いを頑なに守り続けることができたアレクサンドラはそういう意味では最後までしあわせだったのかもしれない。何も曲げず、ただ自分の思うがままに人生を生きた。誰のためでもなく、ただ自分のために。家族のために。こどもたちのために。おお、なんと高貴で傲慢でそして孤独なうつくしいひと・・・!おお、神よ、無力な祈りだけがあなたに届く、呪いのように。

これが恋かも、と淡いピンクのドレスで歌うオリガの可憐なことよ・・・!皇太后の舞踏会で彼と彼女の邂逅を目の当たりにして、そしてすべてを悟ってしまう賢い娘。勇敢な娘。麗しのイレーネ!と無邪気にその腕に触れたオリガの想い。それでも彼女は自分のきもちを抑えて、いい子であろうと振る舞う。そのいい子であるということがさらに切なく哀しく、一度は結婚するのだと決めた愛するひとが自分のことを一番に愛していないと知っても、彼の命乞いをし、そして聞き入れられなかった彼女の願いはロシアの凍った大地に永遠に眠る。うらら様が成熟した大人の女性であるのを体現してらっしゃったのととてもよい対比だった。

フィナーレで笑顔の皇帝一家をまた見ることができてよかった。うららさまと凜きらさんの並びよ。このふたりが姉妹だということ。ほんとにすばらしいアレクサンドラだった。今もわたしが羨ましいと心からおもう役。