茶の間でおま。

本とかテレビとかすきなものたち。

星組紅ゆずる・綺咲愛里退団発表に寄せて

ベニーさんが退団を発表された。

今日行われた会見のニュースをインターネットで見た。

お披露目のスカピンで「5作で退団しよう」と決めていたということ、相手役であるあーちゃんにはアナワの時に告げたこと、あーちゃんも一緒に辞めると言ってくれたこと、そんなだいじなエピソードなのにいつのことだったか肝心なことを覚えてなくて、きっと退団会見の時に聞かれるであろうからとあーちゃんに確認したこと、あーちゃんはすぐに答えてくれたこと、それまではいつもの軽妙な語り口であっただろうに想い出をと乞われて大泣きしたこと、生まれ変わってもまたタカラジェンヌになりたいと言われたこと、退団後の結婚について聞かれてあーちゃんと結婚したからと答えられたこと、どれもこれもわたしのだいすきなベニーさんで、タカラヅカという独特の世界においてもなお異彩を放っていて、ベニーさんの持つ物語はわたしを心から感動させてくれた。ほんとうにありがとうございました。

わたしがタカラヅカに出戻ってきた時の星組さんは柚希さんをトップに頂き、その下にベニーさん・真風さんが堅く位置しその見事な布陣がとても美しかったのが印象的だった。柚希さんが卒業されて、真風さんが宙組に異動になり、二番手であったベニーさんはそのままに、星組はあたらしくみっさまをトップに頂くことになる。とても、心が、ざわついた。落ち着かなかった。どういうことだろうと状況を理解できなかった。でも組替えでトップになられたみっさまを、ベニーさんは二番手さんとしてりっぱに支え、柚希・紅・真風というトライアングルの唯一残ったものとして、星を継ぐ者として、タカラヅカの世界を鮮やかに彩ってこられた。どうかベニーさんが星組のトップさんになりますように。確かなものなんてなにもない世界だというのはじゅうぶんに知っていた。だからわたしはベニーさんの星組トップというものにこだわりたかった。

願いはかなって、奇跡の新公と言われたご自身最初で最後の新公主演をされたスカピンでのお披露目。これほどまでにわかりやすい物語を背負ったベニーさんは、わたしの愛するタカラヅカの世界をこれ以上ないくらいに具現化してくれて、そのぐうの音も出ないほどの王道に有無を言わさず感動させられた。批判もあっただろう。離れていくひともあっただろう。トップさんが替われば、ファンもまた入れ替わっていく。それでもあーちゃんとふたりで組んだこの3年間は、この同時退団という最高のクライマックスをもって、ああ、とてもいいトップコンビだったねと多くの人に言わしめるにじゅうぶんなものをわたしたちに見せてくれた時間でもあった。まさに王道。これぞタカラヅカ。生え抜き原理主義でトップコンビの同時退団を良しとしているわたしにとって、それらを叶えてくれたベニーさんは完璧なタカラジェンヌだった。ほんとうにありがとうございます。とてもさびしいです。でもこれで思い残すことはありません。どうかベニーさんの残りのタカラヅカでの日々がしあわせなものでありますように。