茶の間でおま。

本とかテレビとかすきなものたち。

「僕らは奇跡でできている」#7

息子のことを出来なくてダメで手を焼かせる子だって思い悩む母親の懸念がひとつ解消されてほんとうによかったです。お母さんのことをだいすきな彼が、お母さんのすごいところ100個言えるよって全肯定する場面がクライマックスだった。朝起こしてくれる、ご飯を作ってくれる、掃除をしてくれる、洗濯をしてくれる、歯ブラシの先が広がったら替えた方がいいって言ってくれる、もしものためにベランダからロープで逃げる練習をしてくれる、おお、いいお母さんだよう(ごうきゅう)ぜんぜんだめな母親なんかじゃないよちゃんとわかってくれてるよ(おえつ)ほんとにね、もしもの時にベランダから逃げる練習はだいじ、避難訓練めっちゃだいじ、わたしも家庭内で避難訓練しなくちゃいけないってめっちゃおもった。

誰でもできることはできてもすごくないんですか。

そうやってみんなのすごいところを100個言えるかじゅき先生はほんとにすばらしくて、でもその分いろんなことを乗り越えてきたんだろうなって静かに流す涙にまじ号泣っすわ。水本先生にかじゅき先生は努力する亀ですもんねって言われて、そうでもないですよって言うシーンがはさまれたのがまた効果てきめんだった。実はすごいって認めてもらいたい承認欲求の強いウサギだった。バカにした人たちを見返してやりたい、でも絶対負けたくないって思ってるうちにすごいことをやらなきゃって思い詰めるようになったらすきなことも楽しくなくなってつらくなって。

やりたいならやればいい、やらなきゃっておもうならやめればいい。

これはもちろん趣味の世界の話だし、それだけを追求できるかじゅき先生は恵まれた環境にいるんだなーってめちゃめちゃ羨ましいけど、でもわたしもそう言える親でありたいです。*1何かが出来ても出来なくても居ていいんだって、そう言えってことですよね。生きてるだけでじゅうぶんえらい。ほんとえらい。わたしもえらい。みんなえらい。

すごいところ100個言えるよ大会のあとで水本先生が自分を肯定できるようになってビリビリに破いた雑誌のページをくっつける後ろで流れるどうあったって自分は自分でどうやったって誰かにはなれないっていう主題歌の歌詞にまた泣かされました。すごいところ100個は、誰かと比べてってことじゃない。とてもすてきなことをおしえてもらった。

そして最後にきた爆弾ーーー!!!かじゅき先生は、山田さんが自分と水本先生をくっつけたがってるのも知ってるし、それに大河原さんが口実に使われたのも知ってるし、そして彼女が自分の母親であることも知っていた。たいへんです。

*1:バカ息子の進路でまたもや悩む時期になりました。彼の人生に親として関わる最後の機会なのかなと思うと。

三崎亜紀「30センチの冒険」(39)

三崎さんのファンタジー読みましたー。めっちゃファンタジー

わたしファンタジーはちょっと苦手なんだよね。っていうか三崎さんの数々の不思議設定は日常の中でこそ真価を発揮するものであってファンタジーの世界が舞台だとなんていうかべつに?そんな?って感じ???鼓笛隊の襲来とかさ、心躍る設定だったのが、ファンタジーの世界だと特別なものに感じられなくて、わたしのたいせつなものを返して・・・ってちょびっとうなだれたわ。大地の秩序を失った世界を救うのは異世界から持ち込まれた30センチものさしだけ!っていうあたりはさいこうに素晴らしくてゲラゲラ笑い転げたし、一番はアレだよ、「マ」だよ、「マ」、世界の最終兵器、歴代施政官たちの伝家の宝刀、まさに抜けない刀であった、なんだよ「マ」って!!!なんのアタマの文字だろってめっちゃ「マ」のこと考えてたのにまさかの「マ」の正体にいやもう完全にしてやられました。おもしろかったです。

「僕らは奇跡でできている」#6

ものすごく満たされて語彙力を手放してしまう~~~。

事務長に怒られて「げ」って言うのも、山田さんが樫の木先生*1の名前を思い出せなくて「椎の木先生!」って言った時の表情も、洋服に落ちない汚れがついてしまってかなしいですか泣きますかって山田さんに尋ねて泣きはしませんって言われてグルグル回りながら部屋に消えていくのも、呼んでもない事務長が食事会にやってきたことに拗ねてくちびる尖らせて(はいない)るのも、樫の木先生に意地悪でどうして離婚したんですかって聞くときの般若の顔も、山田さんに餃子お願いできますかって言われててっきり包み慣れててめちゃめちゃ上手なのかと思いきや全然そんなことない(ひどい)のも、樫の木先生のことを椎の木とか栗の木とか呼んでわるーい顔するのも、ほんとうはどうしたいんですかって水本先生に尋ねてそしておそらくおもっていたのとは違う答えをもらって釈然としないまでもそれ以上は深追いしなかったり、デリカシーなくズケズケと樫の木先生に離婚理由を聞いていたことを少し反省してみたり(たぶん)、恐らく初めて他人に弱みを見せたのであろう水本先生の真剣な問いに「わかりません」と答えたり、すべての場面がわたしを満たしてくれてしあわせにさせてくれる。最後に水本先生がわたし泣いてるんですけどって言うのさいこうだった。あと樫の木先生はきっといいひとだとおもう。

さて、タコにいったいどんなトラウマが?

*1:樫の木といわれると樫の木屋敷をおもいだすよね?※風と共に去りぬ