茶の間でおま。

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中山可穂「娘役」(23)

「男役」に続く宝塚シリーズ第二弾。ということらしいですけど、男役・娘役ときてあとは何があるというのですか、とおもたら五組と専科構想があるらしいですなるほど。 

娘役

娘役

 

今回は宝塚に出会ってしまったヤクザの話が半分あるので「男役」に比べて宝塚の世界どっぷりというわけでもなく、濃密な10年間がさらりと描かれてて物足りなかったです。

あと「男役」であった男役同士の恋愛であるとかなかなかアレなところをついてきた中山さんのドリームっぷりが今回は控えめで、娘役の男役に対する疑似恋愛的なものも出てこずわりと健全でした。生え抜き同士の幼馴染の二人がともに組替えしてそこでトップを組むというのはまあみりコンビを彷彿させますがこの話がドリームなのはその男役が研11でトップ就任し、相手役が研10だということです。若い嫁さんばかりがいいんじゃないとおもうよ・・・あとは、主人公の人が最後に大きな花束抱えて楽屋口に向かうんですけど、お花は差し入れちゃだめなんじゃあ・・・?まぁそれも含めてドリームですよね。

娘役と男役をキリンとライオンに例え、ライオン同士のあいだにひそやかに流れている川に例えられるものにドキドキしたのですが、そのひそやかな営みを見てしまった首の長いキリンの出した決断は。

主人公の人が10年間、よい距離感で見守ってきた姿が美しかったです。どうしても近づこうとしてしまって距離感を見誤ってしまいがちだからわたしの恋は10年も続かない。今たぶん恋の終焉に差し掛かっているんだろうなってうっすらと感じてるんだけど、遠いところからでも好きでいられたらいいなって願ってる。いつか真っ赤な薔薇の花束を抱えて楽屋口に向かえるように。