・読んだ本
野崎まど「小説」(59)
本屋大賞ノミネート作品。初読み作家さん。文章がおもしろくて何度もゲラゲラ笑ったんだけどいかんせんお話が難しくて果てはファンタジーの世界まで行ってしまったので「小説」というものを定義した作品だというのはわかったし納得もしたんだけど感想としては「わっかんねーーーーーー」でした(一息)謎めいた髭の作家先生とその孫とされる永遠の少女。その正体はちゃんと明らかにされるけど、果たしてちゃんと整合性は取れているのか疑問がぬぐい切れない。いや、これは考えるな感じろの世界だとはわかってる。文学の芸術家に惹かれる妖精と、それに誘われてあちらの世界に行ってしまった数多の天才たち。なるほど芥川もイェイツもそうだったのか。森見登美彦や宮内悠介の名前が出てきて途端に現実味を帯びるのもおかしい。
月村了衛「普通の底」(60)
ふつうであることを望みながらも引き返せない犯罪に手を染めざるを得ないひとたち。薄っぺらな彼らのもつ「憶病な優越感」と社会に対する「消極的な怨嗟」が蔓延する「時代」の怖さ。どこかで引き返せたはずだとおもってしまうのは、わたしがまだその優越感と怨嗟に飲み込まれていないからだとおもいたい。怖かった。
青柳碧人「乱歩と千畝」(61)
該当作なしとなった第173回直木賞の候補作品読みました。中学校と大学が同じであったという事実から紡がれた物語は、フィクションであるとわかっていながらも「せんぽ」「らんぽ」という名前の類似もあわさって、そうであったかもしれないかもしれないかもしれない、と思わせる。おもしろかった。
逢坂冬馬「ブレイクショットの軌跡」(62)
同じく直木賞候補作品。おもしろくて一気読みしました。ホワイトハウスのもとになってる日本語がなんだろうっておもてたら「まつしろ不動産」だった時のカタルシス\(^o^)/なるほどー。あとはヤクザに重宝されてた人が簡単に手放してもらえるのか読み終わってもしんぱいしてしまう...どうか幸あれ。
若竹七海「まぐさ桶の犬」(63)
葉村晶シリーズの最新作おもしろかったーー!50歳超えた葉村さんの不運さに笑い泣きました。高級レストランの入り口で捲したてる下品なオッサンの向こうから突っ込んでくる箱バンとか、それにしたってそんなことある???っていうおもしろい絵面の連続に何度もゲラゲラわらいました。畦地梅太郎イラストのトレーナーを着たババア(敬称)とかもそう。コロナ禍末期の世界で葉村さんの不運という基礎疾患がまさに遺憾なく発揮されててサイコーでした!しかし欲が渦巻くお金持ち一族の骨肉の争いは、なんせ登場人物が多すぎて何度か混乱した。出てくる人たちがだいたい50代以上のなかなかなシルバーミステリ。同世代としては不運はともかく、これ以上体を張るのは厳しいなあって同情するし、当然ほかのレギュラーキャラクタたちもみんな年を取っててなかなかに平均年齢高めの渋さを出してるナーとはおもうものの、みなさん息災であられよと願います。
万城目学「あの子とO」(64)
前作をうっすらとしか覚えてないのでちょっともどかしいシリーズもの。今回のOは狼男。ほほーん。清子様ご健在でなによりです。前作の感想文で宮藤くんもきっとQって書いてあるんだけど今回ほとんど出番なかった。サクが前作にも出てたですって?なにひとつ記憶がない...わたしも記憶を操作されがちなので、早めの次回をおねしゃす。QからのOときたら次はFしかないんだけど(ヒント:「怪物くん」)、さて。
瀬尾まいこ「ありか」(65)
わんわん泣きました。わが子を愛せない母親というのは理解できるけど、どうして独立した子どもから金銭の援助を受けようと思うのか。子育てから解放されてやれやれとおもっているなら、もう関わらなければいいのに。なぜ愛せなかった子に執着するのか。子育てで損をした分を取り戻そうというつもりなのかな。それなら、まあ、理解はできるかな。そんな親に育てられた彼女の周りの人間はいい人ばかりで、ほんとにいい人ばかりで...うう..(嗚咽)最後までまとわりつく母親の影にビクビクして読み進めたけど、果たしてあれであの母親は納得したんだろうか。
伊与原新「藍を継ぐ海」(66)
第172回直木賞受賞作品。短編集。「科学だけが気づかせてくれる明日」という帯の言葉には、科学かあ......(果てしなく苦手)と尻込みしたんだけど、そういえば科学だった、と読了後にきづくほどに文学との相性がいいのだと、また、わたしたちの毎日に科学は密接にかかわっているのだと確かに「気づかせて」もらえた。いろんな地方が舞台となった物語たちは、旅に出たい欲もかきたてる。日本は豊かだな、とそのさまざまな風景を思い出しつつしみじみと悦ぶ。帯にある言葉の通り、心が整いました。
万城目学「あの子とQ」(再)(67)
慌てて再読しました。おお、サク・佐久だーー!ヨッちゃんの特に前半の絶好調っぷりがさいこうすぎてゲラゲラわらいました。告白する相手にYouTube自己紹介動画のアドレスわたして、おkなら高評価お願いします、いや、おkの時はチャンネル登録かのくだりはおなかよじれるかとおもたし、PASTAのイラストのTシャツ着てくる蓮田くんがこれは親戚にもらった鹿児島みやげとかいうあたりもほんとに抱腹絶倒、顎がはずれるところだった。いやあ、おもしろかったです。前作を踏まえてみると「O」のほうはちょっとヨッちゃんが不足してたかな。ゼノとは会えたのかな。次回作までに覚えておくこと:ゼノ(弓子の監視役だったQ)を吸血鬼にした因縁の彼女は「まだ生きてる」と佐久が言ったこと。
・観た映画
「ババンババンバンバンパイア」
知ってたけどこれがあの喜久雄だった人間か...という意味で何度も衝撃を受け、コメディにぶん殴られてきました。いやー、まじで「国宝」のあとの「バババ」は攻撃力が高い。くっ、こんなことで...と何度も悔しい思いをしながら大笑いしてきました。くだらなさがすごい(ほめてる)いや、無駄にすごい。コメディって難しいんだよね、知ってる。知ってるけど、そのすごさもふだんだと、あー、くだらなくておもしろかったーって終わっちゃうところを、なんせ喜久雄を経た後なので、す、すごい...(ゴクリ)ということになってしまうんですよ、ほんとになにこれ。設定の勝利でしかないのは否めないので、果たして物語としてはどう進んでどう落着するんだろうって不安だったし、後半ちょっと飽きてきたんだけど、それでも鑑賞後の満足度は高かったです。いやでもこれはやっぱり喜久雄ありきの吉沢亮なんだよなあ。それはそうと血を吸ったら相手はしんでしまうんだよね?りひとくんにズキューンってなってる蘭丸さんのきもちにちょっとひいてしまう...食料に対してそんなにときめかないで...なのでびーえるとか言われるとそうかな?ってまがおになってしまう。あとお兄ちゃん今までどこにおったん?なんで今ごろやってきたん?????というつじつまの合わなさも気にしてはいけないのである!
「おい、太宰」
有料配信ドラマの映画版が観られるとなるとやっぱり観てしまう...ワンシーンワンカットの映像はメイキングなどを見るとそれはそれはたいへんそうで、でもそのたいへんなことをやってのけた!ってことが第一義になってて、映画としての出来に影響しないなというのが感想です。なるほど梶原善さんの一人三役は早着替えがたいへんだったんだなっていうのもインタビューを読まないときづかなかったので、ワンカットである意味は見出せなかったかな...三谷幸喜は映像ではなく演劇のひとだというのはさんざん言われてることなので、じゃあ演劇っぽい映像を撮ろうと三谷さんが思うのもわかるし、いやそもそもお話がおもしろくなくて、なにを見せられたんだろうっていう鑑賞後感になったのはほんとにざんねんです。主演の人についての感想は特にないです。
「でっちあげ」
予告映像の綾野剛がこわすぎたので見るつもりなくて、でもわりと評判いいから気になってネタバレまで見てしまったやつを諸事情があって観ました(ヒント:鬼滅)教師を陥れようとする柴咲コウに実はアメリカ人の血が入っていないという最大のネタバレを知ってしまっているので、いつ、どうやってバレるのかなあって見てました。てっきり鬼畜亀梨和也記者がその事実に気づいて途中から綾野剛の味方になってくれるのかとおもたのにそんなことはなくて、かめちあが最後まで鬼畜だったのショックでした。怖い映画だった。しかし、実はこの教師は完全なる冤罪ではなく、体罰の事実はあったのだという説も見かけて、完全なるノンフィクションではなく「物語」に仕立て上げたこの映画は罪深いのだという意見に、何が事実かなんて外野にはぜんぜんわからない、迂闊に一方向からの「物語」を批判するのはやめよう、と自戒。事実はどうであれ、母親の「物語」に乗っかった世間というものの一部にならないようにしなくてはならない、という映画だとはおもうので。
・AbemaTVで見たドラマ
「ANIMALS」
🎉本田響矢さんお誕生日おめでとうございます🎉
— ABEMA(アベマ) (@ABEMA) 2025年6月20日
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ドラマ『🐯#𝗔𝗡𝗜𝗠𝗔𝗟𝗦 -#アニマルズ -💄』
ご好評につきABEMAで
再び無料話拡大決定📺
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最高の自分に生まれ変わる
大逆転ラブストーリー❤️🔥
拡大期間:6/20(金)~6/22(日)
詳しくは🔗https://t.co/xM5aVCFx0l#鈴木愛理 #本田響矢 pic.twitter.com/vbAfZGr9wH
本田響矢くん出演作品に課金しました!いやー、鈴木愛理ちゃんがめちゃくちゃかわいいいいいい~~~~~~♡♡♡とずっとゴロンゴロンして見ました。めちゃくちゃかわいくないですか!?!?なんせ年上女が性癖なので海&風緒のカップルが良すぎてフガフガと鼻息が荒いのですがゆるしてほしい。ちょーーーーーーーーーーーーこのみすぎた。良~~~~~好~~~~~~~~鈴木愛理ちゃんはもっと違うお芝居も見てみたいし、ほかにもドラマとか出てほしいです!!!!本田響矢くんは風緒の静止画が天道総司(@水嶋ヒロ)なんだよね、動くと違うんだけど。おもに髪型のせい。切ない表情にときめキュンだしやっぱりキスシーンがいいわよねぇぇ。ああ、たのしかった!満たされた!!!
・徳島を観光しました。
①出羽島へ。
牟岐港から連絡船に乗りました。重要伝統的建造物群保存地区を見に。江戸時代に徳島藩の移住政策により移り住んだ人々による漁業の島で、明治にはこの島を拠点としたカツオ漁の漁場を高知沖に見出し、大いに栄えたという。各時代の建物が今も残る貴重な街並み。

蔀(上の雨戸みたいなやつ)と床几(京都のバッタン床几と同じ)からなる揚げ見世と出格子が特徴の家屋。

クルマの存在しない島ではネコ車が重要な生活用具。
遊歩道をたどって灯台へ。遊歩道とはいうものの、めちゃくちゃ山でした。けものみちのような道を這う這うの体で灯台まで。途中で何度か心折れそうになった。夏の山に一人で立ち入ってはいけないという教訓を得た。山登りする用意がなかったのでほんまにめちゃくちゃ苦労しました...途中に国の天然記念物に指定されているシラタマモ自生地の大池があったのですが、どこがそれなのかさっぱりわからずじまい。シラタマモは連絡船の発着する港にある漁協の建物入り口にて展示されてるものを見学しました。

帰り道の港から出ていくところと、出羽島の全景。




③阿波十郎兵衛屋敷へ。
映画「国宝」を見たので人形浄瑠璃を見なくてはならねばと思い立ち。平日の公演は残念ながら太夫、三味線は録音でしたが、初心者にやさしい浄瑠璃でした。そも、浄瑠璃と文楽の違いは、という素人なもので、入門編としては人形を触らせてもらえたりなどして手厚くお接待いただき幸甚の至り。演目は「傾城阿波の鳴門 順礼歌の段」で、「ととさんの名は十郎兵衛、かかさんはお弓と申します~~」というくだりを今も反芻してる。ちなみに映画「国宝」で今も反芻してるのは少年期喜久雄「積恋雪関戸」の「橦木町から来やんした」です。

女性の人形は着物で見えないために足が作られていないのが定石だそうですが、「曾根崎心中」では女郎の足がキモとなるため特別に足が作られたそうで、やっぱり「曾根崎心中」観てみたいっすなーー。阿波の浄瑠璃は、今もなお農村舞台などで地元の人たちが受け継いでこられたという文化のありかたがとても心に残りました。映画「国宝」の世界とは真逆だなと。