茶の間でおま。

本とかテレビとかすきなものたち。

恩田陸「蜂蜜と遠雷」(20)

第156回直木賞受賞作、本屋大賞2017ノミネート作品。

話題の作品読みましたー。 

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

 

いや噂に違わぬ超大作でした。ピアノとかクラシックとか微塵も造詣がなく浅学であるこのわたしに一気読みさせる力量はさすがの御大。

世の中にはいろんなタイプの天才がいるものだなと、天才の見本市のようなコンクール絵図はまさに浮世離れしていて、天才たちの邂逅とそれによる相互作用が展開する様はとても美しかったです。

出てくる曲名になにひとつピンとこなかったのでたまに検索して音楽を流してみたのだけれどやっぱりピンとこなかったからこの世界はわたしの生きる世界とはまるで別物。あと音楽があると本が読めないタイプの人間なのがふべんでありました・・・

明石さんがいちばんすき。生活者としての音楽の在り方。人生のすべてを音楽に賭けるのではなく、日常生活を送る中で音楽を楽しむという彼のスタンスは天才見本市からは外れるけれどもその分わたしには一番わかりやすく共感できる人物だった。その彼が奨励賞と菱沼賞の受賞を知った時は一緒に涙したし、彼の想いが報われたことに感動したし、たとえばピアノを弾くということが特別なことではない世界が来ればいいなと彼とともに願った。