舞台挨拶中継の回を観ましたー。
グロが無理で暴力反対絶対反対なわたしがこの映画を見ようと思ったのは鈴木亮平くんが動機だったわけですが、まさかあの喜多見チーフの中の人がこんなふうにこんなだなんて聞いてはいたけどやっぱり受けるダメージが尋常なくてこの上なく疲弊しました。くたびれた。しょっぱなの筧美和子ちゃんの場面でやだもう勘弁して；；；って泣いたので耐性がなさすぎる。あとどれだけ耐えたらいいのかと残り時間を気にしてしまって完全に物語に入り込めなかったのはnot for meだったわたしの責任です。見る人を元気にさせる映画ですって作った人たちが言ってましたけど、どこが！？！？！？ってキレそうになりました。根こそぎ奪われた。たすけて。バイオレンスなアクションシーンについての感想は特にないです。むしろスクリーンを直視できない時間が多かったので。鉄砲でドンパチやってくれてるのが平和に見えるというバグ。素手が一番怖いってどういうこと。
でもその筧美和子ちゃんの目玉を抉る凄惨なシーンの後、凹んで落ち込んだ鈴木亮平くんが帰り道を間違ってホテルにたどり着けなかったっていうエピソードを聞いてやっぱり鈴木亮平愛せる...となったのでわたしチョロい。倫理と戦って、役と戦って、上林という人間を自分に寄せていったって言われてたのを聞いて、なるほど自分を寄せに行くんじゃなくて上林のほうを寄せてこさせたのかと興味深かったです。
誰も止められない暴走機関車の上林くんの悪魔のごとき所業の数々はほんとに直視できなくて、堅気に手を出すわ、覚せい剤で商売するわ、清く正しいヤクザの姿とは程遠く、仁義とはなんぞやと問いただしたくなった。外道はきみだよ、上林くん。自分を拾ってくれた五十子正平だけが唯一神の絶対神で、生まれて初めて見た人間を親とおもってついていくひな鳥ではないですか...視野が狭すぎる。何も見えてない。むしろ見たくなかったのか。舞台挨拶でも言われてた、上林くん視点での物語は信じた人に裏切られてしまった哀しみの物語だったっていうのは180度見方が変わって衝撃だった。そうか、上林くんはチンタのこと、信じてたのか。信じたかったのか。裏切られて、哀しかったのか。苦しまないように一発で仕留めたのは上林くんの優しさだったのか。目はくりぬいたけど。目に対する執着。自分に向けられた視線に対する嫌悪。誰も俺を見るな。そう思って生きてきたのかな。チンタを失ったのは日岡も上林くんもおなじ。そう思うと日岡の罪は深い。
子供のころに死神が憑いたと嘯く彼は死にたかったんだろうか。死に場所を探してたのだろうか。日岡に殺してもらえて、彼は救われたんだろうか。そうであればいい。あのチンタを雨の中で撃った場面を境に彼は破滅へと向かっていったのかな。いや、そもそも彼に生きたいという欲がなかったんじゃないかな。はなから死神に生かされてるとおもいながら生きてきた人生は哀しい。その人生のツケを日岡が払わされたのはあまりにも代償が大きすぎる。ヤクザが産んだ怪物の責任はヤクザが取るべきだったのでは。おどれのケツはおどれで持たんかい。自分はうまくやれてるとおもってた日岡が、まったくうまくやれていなかったことに気づいたのはいつか。だいじなものをなにひとつ守れなかった日岡の想い。彼がどこにたどり着くのかは見てみたい。
なので監督の「日岡の負け戦」という言葉は衝撃だった。松坂桃李くんの線の細さと村上虹郎くんの線の細さの相乗効果で最初から破綻が見えていたという評に唸った。そうかそこからか。あまりにも上林くんとの死闘にエネルギを奪われたのですっかり失念してたけど、そういえば彼はチンタを失っただけでなく、あっさりと公安の刑事に騙されてるじゃないですか。あんなに簡単に心を開いてあらいざらいぶちまけてしまうのを見た時には、あららーっておもったんだけど案の定それが警察上層部の罠だと分かった時はさらにあらららーってなった。完全敗北じゃん。なんなら上林くんを撃ち殺したことすら敗北要因じゃん。公安がなんでこの件に絡んでたのかよくわかんないんだけど、公安も大上ノートに何か弱みでも書かれてんの？暴対法成立前夜の日岡の暗躍は歴史から見れば徒労だったんじゃないかと虚しくなるけど、それでも日岡は警察官をやめなかった。彼はどこにたどり着くのか。もし続編があったとしても、暴対法が成立してしまった後の世界だときっとぜんぜんちがった景色になるんだろうな。
一瞬騙されそうになる上林くんの笑顔がほんとうにこわかった。なんでもみあげないん。怖いて。あと西野七瀬ちゃんの凛としたお姉ちゃんぷりが気持ちよかったです。姉ちゃんにはひーさんがいるからっていうチンタのセリフが生きてほしかった。真緒はいったい誰から瀬島情報を入手したんだろ。青柳さんぽいひとだなーとおもた人が青柳さんだったのでびっくりしてるんだけどこの現象何回目。毎熊くんすきです。ワンちゃんに対して「お父ちゃん」って自称するのめちゃくちゃおもしろかったです。それを許容する上林くんのことがちょっと理解できなくて困る。
ほしかった上林くんの中の人が描いた日岡の絵のポスカもらえてうれしい。コースターももろた。
