茶の間でおま。

本とかテレビとかすきなものたち。

2023年8月号

・読んだ本

垣根涼介「極楽征夷大将軍」(51)
第169回直木賞受賞作品。読了するのにめちゃくちゃ苦労した...室町幕府の祖、足利尊氏が実はわりとボンクラ(と見せかけての昼行燈とおもわせてやっぱりボンクラ)という設定はおもしろくて、クソミソに貶される尊氏にゲラゲラ笑ったんだけど、日本史は名前が読めぬし覚えられんのじゃ...とページを繰る手が何度も戻ったりした。順調に幕府を成立させていく足利一族の無双物語かと思いきやぜんぜんそんなことはなく、むしろ戦下手でちっとも頼りにならない直義と高師直のコンビにやきもきし、さらにその二人が仲違いをしていく様に歯がゆい思いをし、ちゃっちゃと後醍醐天皇やら南朝をやっつけてくれたらいいのに、そうはいかない史実という現実にもどかしい想いしかしなかったです。日本史すきだけど、コマ切れで履修したのでつながりがうまくいかなくて「鎌倉殿の13人」に足利氏が出てこなかったとか言われても、ふうーーーん、としかおもえなかったのほんとにくやしい!

永井紗耶子「木挽町のあだ討ち」(52)
第169回直木賞ダブル受賞作品。江戸の人情物はよみやすくて助かります><><><一件のあだ討ち(仇討ち/徒討ち)の裏にはこんなカラクリが、というミステリ仕立てがとてもおもしろかった。一つのエピソードを何人ものひとに訪ね歩くというスタイルで、ああ、ただの仇討ちじゃないなとはわかるし、奈落についての描写が印象的で、きっとそこにトリックがあるに違いないとおもったんだけど、それは違ったw

一穂ミチ「うたかたモザイク」(53)
いろんなテイスト、いろんな長さの短編を全部盛りにした短編集。「神さまはそない優しない」では笑って泣いてたいへんだった。いい話風なのにどこかダークなものを織り交ぜてくるあたりが極上のイヤミス。これはとろけるおいしさ。あとは「BL」のSFがよかった。臓器移植のリスクがなくなった世界では恋人間で心臓移植が流行したってくだりがさいこうにイカしてた。世界を司る一人の天才が世の中をBL仕様にしたせいで、男性から女性への性犯罪が激減し、男性同士間の性犯罪が激増したというのもさもありなん。女は女だけの社会で生きていきたいので、男は男たちだけでどうか生きて行ってほしい。ちんこがなくなれば世の中のたいていの犯罪はなくなるのではとおもってるので誰か天才のひと試しにやってみてほしい。

渡辺優「私雨邸の殺人に関する各人の視点」(54)
クローズドサークルに遭遇してテンション上がるのを隠し切れないミス研の子のウザさが新鮮ではあったけど、どこにもカタルシスがなかったのざんねん。

長浦京「アンリアル」(55)
19歳の異能のスパイ、という設定の出オチ。これみよがしに引っ張るエピソードのオチがそうでもなくて肩透かしだったし、荒唐無稽に見える設定がほんとうに荒唐無稽だったのまさにアンリアルで、いや、そんなことで納得したくないんや、とはおもった。

道尾秀介「フォトミステリー」(56)
これは「いけない」と同じスタイル...!とうれしくなったんだけど、難しいのも多くて正解が分からないのつらい。答えほしい。

誉田哲也「ジウX」(57)
ジウシリーズ未履修なのに新作を読んでしまった\(^o^)/まあ...なんとかいけたか...な...設定とか人物相関は探り探りの状態で読み進めて、推測に推測を重ねて読了しました。起こった連続殺人事件の問題は解決されたのでよいでしょう。共産国の名前をバンバン出して猛烈に批判するのすごいなーって思ったんだけど、やっぱり怖いから海外旅行はあきらめよう...と決意を新たにしただけだった。台湾行きたい。

桐野夏生「もっと悪い妻」(58)
短編というには少し短い作品たち。スルスルと読了するのに何かいやなものが残る感じ。それにしても表題作での、しょうが色の猫がジンジャーと名付けられたので次にくる猫をホコラと名付けるのは、いやそこは「テラ」じゃないの??ってゲラゲラ笑ってしまった。不倫は絶許派なので願望もないんだけど(めんどくさいので)(感情が枯渇しつつあるとしより)(恋がしたい!)

青山七恵「前の家族」(59)
買った中古のマンションの前の住人の子どもたちがわがもの顔で部屋に入り込んでくるとかホラーでしかなくない???とおもたら、彼女はその前の住人に想像以上に順応して、懐いて、骨抜きにされていった。ミステリっていうよりホラーだってば。

有川ひろ「種の物語」(60)
募ったお題をもとに紡がれた物語。後半はほとんどタカラヅカネタで、なるほど、有川さんこうやってタカラヅカに沼ったんだなってわかる仕様。まだわたしにもわかるヅカネタなのありがたいwサンダーボルトファンタジーシティハンターに朝美さんでしょ??フェアリーに恋した時の自認のゆらぎを「それはそれ、これはこれ」で解決するの、まあそうなんだけどさあwwwっておおわらいしながらも、あの時のわたしの恋心はいったいなんだったんだろうって浮かされてた熱が冷めた時におもってしまうの残酷。また、いつかね。二度あることは三度あるからね。

 

・観た映画

「ミンナのウタ」
お盆なので家族全員で観ました。ホラーは苦手なんだってばよ~~~ってことで終盤のあのシーンではほぼほぼスクリーンを直視できなかったwまあそれを補ってくれたのがGENERATIONSの皆さんでしたよね。知らない仲ではないので、割と真面目に怖いというてもまあジェネ兄さんだしなーとおもえたのありがたい。これ見よがしに出てくるアメコの紙コップとか、よせくんのサービスシャワーシーンとか、あと、出てこないとは聞いてたけどほんとに出てこない数原という事実が一番のホラーなのでは!?*1とか邪念でいろいろごまかせたのありがたい。呪いの正体が邪悪なものであったのは新鮮だった気がする。ホラー詳しくないけど。

 

・U-NEXTで見た映画

「アイ・アムまきもと」
彼の特性が活かされたポジションが与えられてることがすばらしいとおもったのに、それを理解しない人にたやすく奪われてしまう。横断歩道で何度も右左右を確認する彼の姿に死亡フラグが立ちまくってたの誤ってなかったのすごい腹立たしい。「子どもいる?」って聞かれて「いりません」って答えるシーンでゲラゲラ笑って、今も思い出し笑いなどしてるので、しばらくはフフフって笑って生きていけそう。

「サイレント・トーキョー」
渋谷スクランブル交差点のセットをまるっと作ったって話題だったやつか!爆破シーンが予想外にグロくてビックリした。言いたいことはわかる。わたしも戦争を知らない。いつか爆弾で横っ面をひっぱたかれるんだろうか。大人の修学旅行で東京に行ったとき、渋谷に行ってはしゃいだのでわかる。でも東京タワーではなくスカイツリーだったんだよね。

「キャラクター」
Fukaseさんがとてもよかった。おぐりっしゅの退場に度肝を抜かれる。最後に出てこない双子の姿に戦慄した。ねえ、双子はどうなったの?血の色は多めだけどそこまでグロくないので(後述の韓国映画と比べて)ぜんぜんだいじょうぶだった。

「護られなかった者たちへ」
原作既読。かんちゃんの性別が変わったことがどう影響してるかなあという点においてとても興味深く見たんだけど、やっぱり女の子が成人したおっさんズを殺害...はともかく、拘束したり移動させたりするのは無理があるのではないかのう、という感想です。原作では凄惨だったけいさんの最期がセリフだけで説明されててその酷さが薄れていたのもざんねんだった。震災で身を寄せ合って家族になった三人の絆というものを描くには時間が足りなかった気がする。それにしても出てくる人が誰もかれもビッグネームすぎて贅沢だった。

「64-ロクヨン-前後編」
ドラマの記憶が鮮烈なんだけど、映画は未見...?(記録にも記憶にもない。でも見た気がするんだよ...)ドラマはピエール瀧新井浩文コンビがとてもよくて、あと吉田栄作が印象的だったんだけど、映画の仲村トオルは立ち位置からして謎すぎたし彼の存在が小さすぎた。やっぱり映画にするには尺が足りないんだよーー。

イニシエーション・ラブ
結末にビックリという触れ込みの映画見ました。原作既読。原作のオチをちゃんと覚えてなかったので、ええー、森田甘路松田翔太になるのドリームすぎるだろーーーとかぶつぶつ言いながら見たの、燃費がよすぎる。原作読んだ時にはオチを言いたいがための道程が退屈すぎて苦痛でしかなかったの、映画だと映像で見られる分、そこまで退屈はしなかったかな。映像の勝利。しかし退屈ではなかったとは言ってない。前田敦子がかわいかったのが大いにこの映画を救っていたよね。

ゴーン・ガール
ドラマ「真犯人フラグ」の時にこれはゴーンガールだ、ゴーンガールだな、みたいに言われてて気になってたやつ。でも「真犯人フラグ」っていうより「僕のヤバイ妻」だって聞いて、ああ、あの高橋一生くんが謎のレンタル年下夫の役だったやつ!と合点がいきました。確かに妻はヤバいんだけど、そこまで体を張らなくても~~><><って彼女の覚悟は痛快であった。なるほどわたしはそっち派なのね。

「哭声」
名作韓国映画ベストテンみたいなやつをTLで見かけたので見たやつ。っていうかホラーじゃんんんん。「ミンナノウタ」もそんなに怖くなかったのでわたしもしかしてホラー苦手じゃなくなったんじゃない??とか楽勝モードで見たんだけどふつうに怖かったし、っていうかグロさが無理。グロ無理。痛いし。何を信じるか、を突きつけられたみたいなんだけど、信仰を持たない人間にとってはピンとこなくて、わたしはあの國村隼の中にいたものが、祈祷師に移動したんだとおもった(被害者の写真コレクションのくだり

「チェイサー」
名作韓国映画ベストテンに準拠。ベスト、とは。確かに後を引くし、鑑賞後の胸糞な印象はしばらく消えないだろうなとは思うけどそれがベストの理由ならちょっと物申したい。始まってすぐに犯人が殺人犯だって自白して、あれ?なにこれ事件解決?物語終了?っておもたのに、まさかそこから2時間以上も彼が逃げ切るのを見ることになるとは思わなくて、あまつさえ、なんとか命からがら悪の巣窟から逃れた彼女が助けを求めた先で地獄を見ることになるとは。見てる方だって地獄だったよ。えーーん。あの子役ちゃんめちゃくちゃかわいかったよー。えーーーーん。

「まく子」
あっちゃん出演作見ました。想像以上のチョイ役で心が折れそうになるも、タイトルの意味が最後までわからず、エンドクレジット見ながら「まく子...撒く子か!!!!」ってデカい声出しちゃった。女の子の名前かとおもってたのにいっこうにまく子ちゃん出てこないから最後までずっと誰がまく子なんやって思いながら見たよ。原作読もうかな。あっ、子役時代の池田優斗くん見つけてめっちゃテンション上がったよね!

ぐらんぶる
夏の最後の映画はこれで決まり☆ってことでくだらない映画を見たんだけど、なるほど青年漫画が原作なのかというちょっとそれはどうなのかしらねってPTAになってしまう描写があちこちにあって、まあでもこれは青年漫画だしなって呪文でなんとか乗り切った。わかるんだけど、それはそこまでおもしろくないかなー(えがお)みたいなのが多すぎた。梓センパイのおっぱいには惹かれたのちょっとくやしい。

 

・テレビで見た映画

落下の王国
映像がとんでもなくきれいなんだけどお金がかかりすぎてて権利を持ってる会社が倒産したとかで円盤は絶版、配信もないという状況らしく、この貴重なテレビ放映を逃すまじと聞いて視聴。衣裳デザインが日本人の方というのも寡聞にして知らずお恥ずかしい限り。いいもん見られた。子役ちゃんかわいかったけど、5歳の子に高いところで労働させてはいけないよっていう医師の忠告を母親に言えなかったのがしんどかった。5歳なのに。

「EVITA」
久しぶりに見たけどやっぱり好き~~~~~というきもちでいっぱいになった。バイタリティ溢れる彼女の活躍と、流れる音楽のキャッチーさと、今も彼女がかの国で慕われている存在であるというドラマティックな事実。「Don't Cry for Me Argentina」はわたしのオールタイムベストな映画音楽だとおもう。

クライマーズ・ハイ
*2映画は見たことあったんだっけ?ってぜんぜん覚えてないんだけど、「コドモ警察」に出てた子役の鏑木海智くんが終盤映ったのを見て声を上げたのは覚えてるのでたぶん見たことあるはずなのにほかを覚えてない\(^o^)/若い堺雅人がすてき~~ときめき~~(「VIVANT」たのしく見てる

勝手にふるえてろ
松岡茉優ちゃんだいすきです!!!なのに時々三時のヒロインの人に見えてしまうのなぁぜなぁぜ?まさに松岡茉優のベストパフォーマンス、満点です!!!いやきみじゅうぶん毎日楽しそうですやんというのが覆される後半に、ああ...とうなだれる。なるほど。せやな。これが孤独か、という彼女の絶望がつきささる。いてえ。でも同僚のくるみちゃんは実在してるんだよね?ならいいじゃん。いや、でもだからこそ、処女であるという彼女の唯一最大の秘密を第三者にバラされてしまったことに耐えられなかったんだなってわかる。早く仲直りしてほしい。っていうかミュージカルシーン入りましたよね?なんで!?ファ!?!?ってめっちゃ動揺した。彼女の動揺がわたしの動揺と同化した瞬間。ずっとキモかったキリシマくんの雨に濡れたスーツ姿はイケめててうっかりときめいた。どうか幸あれ。イチの、あの時代を振り返っての、自分は虐められていた、という認識が周りの誰とも齟齬があってこわい。原作既読(2010年11月)だけど再読しようかな。

 

・見たドラマ

「軍港の子~よこすかクリーニング 1946~」
NHK終戦ドラマに太賀が出るやつというだけで感無量。

スーパープレミアム「獄門島
長谷川博己金田一像が新鮮だった。「きちがい」が含まれたフレーズがキモなのに、放送禁止用語だからと自主規制された作品が過去に作られていたというのはざんねんだなとおもうし、この作品ではそれが忌避されなかったというのはまた意義のあることだなと思うので再放送を見られてよかった。

 

これは夏休みの想い出。ビールの飲めるハンバーガー屋さん、フレッシュネスバーガーが上本町にあると知って、新歌舞伎座に行った時に堪能してきました♡

 

*1:知ってる人は怖くないだろうけど、知らない人にとっては出てこないメンバーがいるとか気になって仕方なくない??っておもたけど、知らない人は出てこないメンバーがいるとか気づかないからだいじょうぶと言われてそれもそうかと納得した。

*2:高橋一生くんが出てるNHKドラマのほうが見たい。