茶の間でおま。

本とかテレビとかすきなものたち。

2023年7月号

・読んだ本

柚木麻子「オール・ノット」(45)
おもしろかった。この国の貧困に憤る。勤勉さは怒りの発露。まさにそう。これだけ真面目に生きて、これだけ真面目に勉強し、これだけ真面目に働いているのに、それでもわが生活楽にならざり。じっと手を見るだけじゃない怒りはわたしにもある。そして小説で描かれる近未来はさらに貧困が進み、貧困ゆえに子を産まない選択をする。それはすでに始まってることで、絵空事の未来じゃない。腹立つわー。四葉さんがちゃんと生きててよかった。山戸家の隆盛から没落までの物語はおもしろかったけれど、全体的に男性が不在がちなのが気になる。女だけで生きていければそれに越したことはないとはおもってるけど、女だけじゃなくても楽しく生きていける世の中であってほしいよね。

夕木春央「時計泥棒と悪人たち」(46)
「方舟」よりは好みだったけど、いくつか解説がほしいミステリでした。*1勤め人が性に合わないので泥棒になった、のくだりで二度見してしまったwのどかだなあ。悪人だらけであったらもっと楽なのにという彼のセリフが夕景に溶けていくのが切なかったです。

冲方丁「骨灰」(47)
第169回直木賞候補作ということでホラーは苦手なんだよなあとおもいながら薄目で読み始めたんだけど、わたしの苦手なホラーではなかったのでぜんぜんだいじょうぶだったしおもしろかったー!夜中の2時に読み終えたんだけど背後にビビることなく安眠できたのでぜんぜんだいじょうぶなホラーです。オカルトな雰囲気を感じさせない現実的な物語の中に忍び寄ってくる「祟り」とそこに関わってくる「拝み屋」とホームレスを十数人も殺しておいてそれを法的にもなかったことにしてくれることの怖さというのはあったんだけど、ホラー的な怖さではなかったかな。途中主人公の鈍クサさにイライラしたけどまるっと円満に終わったのが、やっぱり怖さではあったかな。

櫛木理宇「少年籠城」(48)
居所不明児の存在にショックを受けた。街にも。子どもがいなくなっても不思議と思わないことがショック。犯罪の動機が、自分たちの存在を知らしめ、そして「勉強がしたい」という願いであることがショックだった。虚構であってほしい。衝撃作。

高野和明「踏切の幽霊」(49)
第169回直木賞候補作として読了。ホラーは(以下略)なんだけど先日読んだ「骨灰」より怖かった~~~。幽霊怖い。子どもがつらい思いをして生きるのを見たくない。「少年籠城」につづいてしんどかったな。

ディーリア・オーウェンズ「ザリガニの鳴くところ」(50)
2021年本屋大賞翻訳小説部門第1位作品読みました。おもしろかった。ハードモードすぎる人生を生き延びるカイヤに快哉。判決が下される時はハラハラしたけど無罪放免となってホッとした。フーダニットのミステリとしてもおもしろく、どんでん返しのラストにも唸る。湿地の風景が想像しがたいので(貧困な想像力)映画を見てみたい。

 

・観た映画

君たちはどう生きるか
宮﨑駿監督の新作観ましたー。ジブリ作品を映画館で観るのは「もののけ姫」以来です。っていうかたぶん「もののけ姫」しか映画館で観たことない。嗚呼、青春の想い出。前情報一切なしで観られるのも稀有な経験だとおもうので、張り切ってネタバレなしで初日近くに観ました。キムタクと木村佳乃はわかったけど菅田将暉とかぜんぜんわかんなくてwエンドクレジットでのけぞったのこれは庵野秀明方式...!いわんやあいみょんをや。感想は特にないんだけど(特にないんだけど)眞人さんはちゃんと返事をせえ、って何回かおもったかな。話しかけられたら返事をするべきです。なので眞人さんに対する印象は悪い。集合体恐怖症のひととかはちょっとしんどい映像だなあともおもった。わたしは平気なはずだけど何度かうへえっておもったし。あと終盤にオウムたちが糞を落としまくるの、この世はクソだからだ、っていう解説を見かけてめちゃくちゃ納得したけど、排泄物苦手人間なので生理的にしんどかった。

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」
映画館で初めて見るミッションインポッシブル、めちゃくちゃ映画館で観てよかったー!って思える映画だった。ベンジーが爆弾解除する場面とか、街中のカーチェイスの場面とかおもしろすぎてゲラゲラ笑っちゃった。でも長かったし、パートツーに続く。なの知らなくて、エッ、ここで終わるん!?ってビックリした。あそこから潜水艦パート始まるのかとおもて長すぎるのでは...とおもてたので、続く。ってしてくれたのはよかった。なんか、IMFという組織がなくなってしまったのすごくすごくさびしい気がするし(IMFになんの思い入れもないくせに)イーサン以外にもっとまともなスパイはおらんの!?ってわりとシリーズ通しておもてたやつをまたおもったよね。

 

・U-NEXTで観た映画

「ザリガニの鳴くところ」
原作読んで湿地がどんなところなのか想像できなくて映像をみたくなったやつ。映画観て思い浮かんだのは近江八幡の水郷なんだけど、そうかあれが湿地だったのか。小説では説得力を持たなかった陪審員の判決なんだけど、映画では良心を咎めた老弁護士による弁護のたまものだったのだと合点がいった。わたしが裁かれるのではない、彼らが裁かれるのだ、というカイアのセリフが胸に刺さる。透明人間のように扱ってきた人間に対するカイアの覚悟がかなしい。墓場まで持って行ったその秘密は、ほんとうにほんとうにそうだったのかと、エンドクレジットが流れても信じ切れずにいるほどに、カイアが正義だとおもってしまう。被害者は加害者に怯えて逃げるしか方法はないのか。そんなバカな話ある?この世は絶望だ。あなたたちがわたしを無視するのならばわたしはあなたたちの法に従わないまでだ。というカイアの覚悟が見えた気がする。それでいい。

ミッション:インポッシブル

ミッション:インポッシブル2」

ミッション:インポッシブル3」

ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル

ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」

ミッション:インポッシブル/フォールアウト」

27年前のトムクルーズかっこよすぎてわらっちゃった。そして見たことあると思い込んでたのにどうやら初見だったっぽいのショック。そっか、観たことなかったんか...新作観るためにU-NEXTでシリーズを予習することにした。シリーズ通して、IMFが組織として本当に有能なのか、イーサン以外のスパイは本当に有能なのかずっと疑問におもってしまった(おもにベンジーのせい)あと、スパイは家族を持ってはいけない...ってめちゃくちゃおもったし、彼のすべてを受け止めたジュリアはカッコいいしマジ尊敬だけどでもやっぱりイーサンはゆるせないなってその点においてはやっぱりゆるせん。順当に年を取るトムクルーズを観られたのよかった。そりゃわたしも年を取るはずだわ。レア・セドゥの殺し屋かわいかった。

 

・買った服

セールで衝動買い。anysisで買った黄色のリネンブラウスとサマンサモスモスで買った緑のコットンブラウス。ここのところ無印良品で服を買うことが多くてシンプルを極めてたんだけど、どうやらシンプルに飽きたらしい。夏は派手色でなんぼじゃろがい。という衝動買いです。緑のブラウスは試着もせずに買った。後悔はしてない。お洋服の上手な撮り方おしえて。

*1:あの倫理のなってない金持ち一家の女中さんが難を逃れたのってなんでだっけ?